作 陶


①​水簸(すいひ)
土の原料を粘土化する工程です。
原料は食器などに使用する『多治見黄土』、それに屋敷内で採取する『赤土』などです。 
これらは、種類ごとにカメの中に入れ、水を満々にして洗濯機のごとく攪拌します。5分ほど待って、上澄みを隣の水槽に移して1週間ほど放置し、隣の水槽の底にたまった土を再度水簸します。
この水槽にたまる土は、丸一日行っても約1cmほどしか溜まりません。
上澄みから堆積した分を再度撹拌し、水分だけを捨てます。これを繰り返し、最終的に残った泥を使用します。
泥の水分を除き、石膏の容器に入れ団子状になるまで水分を抜き完成します。
自然の恵みを
 

ブレンド

 焼物に合わせて土をブレンドします。
水月窯は、家庭用食器の生産が主でありその土は、上記の黄土と赤土だけでは可塑性に欠けるため、粘りけのある貫入土(蛙目石)を混ぜます。手ごねの重労働です。
その昔、2代目荒川武夫に土の混錬に対し「土錬機を使ったらどうか」と云われたとき、武夫は「そんなものを使うんだったら、この窯の意味がない」と云って、以降ひたすらに昔のまま手作業が続いています。これも含めて文化財です。

もぐさ土

  もぐさ土は信楽長石と共に日本2大希少土と云われています。
白い肌のもぐさ土ほど一級品です。
この土を、砕き・擦って・振るいにかけ、土にします。
志野焼は主にこの土を使用します。

菊練り

 轆轤成型で使用する時に全体の硬さを均一することと、土の中に残っている気泡の除去を目的に行います。
練っている途中の模様が菊の花のように見えることから菊練りと呼ばれています。

右手で押し、左手で起こす右手菊練りとその反対の左菊練りがあります。水月窯四代目は右手です。 

ろくろ

  水月窯の轆轤は、75年前に開窯した時の手轆轤を今でも使っています。

そうです、荒川豊蔵や、武夫氏が使用していたものが今も使われています。

​美濃地方では、昭和の初期ころ多く使われていました。欅と樫の木でできています。





ろくろ

今でもすーっと大きさが決まるときもあれば、しっくりと行かないときもある。
最初の土取りが肝心です。

 削り

ろくろで作ったものを、むろ(室)という部屋に3日ほど入れて、手で持てるほどに固くなってきたら、台に裏返して高台部分を削りだします。軽くする目的と厚みを均等にしたいためです。

乾燥

削りが終わった器は天日乾燥を行います。
天気が良ければ3日ほどで乾燥します。夜は軒下に入れます。
水月窯は素焼きをせずに乾燥だけで絵付けをします。
その後また天日乾燥させます。

施 釉

絵付けをし乾燥させた器に釉掛けをします。
水月窯は冬場は薪ストーブです。その灰や窯を焼いたときの灰を、長石に混ぜて調合します。
100%天然素材の釉薬は、土味と共に心なごみやすらぐ器になります。

薪の準備

まずは薪です。日本の赤松を使用します。良く燃えます。
同じ太さに揃え井桁に組んで乾燥させます。500束ほど使用します。

窯出し

冷ますのに1週間ほどかけます。

検品

一つひとつ確認します。
そして高台部分に付いた山砂を砥石で取り除きます。
砥石は青砥を使用します。